5月17日(土)、WTS横浜トライアスロンシリーズ・パラトライアスロンのレースは、フランスのヤニック・ボルソー(PT4)が総合優勝した。同レースは横浜・山下公園を舞台に国内外から60人の選手が参加。気温16度・水温18.6度、湿度76%のコンディションで行なわれ、ヤニックのタイムは1:04:27(SWIM0.13.13、BIKE0.30:37、RUN0.19:00)だった。
今回の横浜大会は、2016年のリオパラリンピックに向け、世界で初めて正式なクラス分けが行なわれるということで注目の大会になった。日本から19人の選手が参加、橋本健児(PT2/脳性麻痺・宮城県)と木村潤平(PT1/下肢麻痺・NTT東日本)、濱田美穂(PT3/右下腿欠損・大阪府)がともにクラス3位で銅メダルを獲得した。
初出場の女子・秦由加子(PT2/大腿切断・千葉県)が1:36:25で、クラスからは1名で出場したが、昨年ロンドンで行なわれたグランドファイナルで同クラス3位だったサラ・レイナートセン(アメリカ)の記録を2分も縮めることができた。
競技後、橋本は、「スイムで波が高く、ゴーグルに水が入り体力もかなり奪われてしまった。水を飲んだせいか、ランの時に少しおなかが張った。スイムでは水中でのバトルの部分もあり、そういうところはトライアスロンらしくなってきたと感じた。バイクは風が強かった。ランは心地よく自分のペースで走ることができたと思う」とレースの感想を話した。
長くパラリンピック・スイマーとして活躍してきた木村は、昨年8月のロンドン・グランプリファイナルで初めてトライアスロンレースに出場。結果はDNF(周回不足による失格)と悔しい思いをしたが、この1年、メカニック金城雅夫氏とともに荒川の河川敷でハンドサイクル、バイクの本格的な練習を重ね、得意のスイム以外の種目の強化をめざし取り組んできた。今大会でライバルの車椅子マラソン・トップランナー副島正純(PT1・脊椎損傷・福岡県)が不調だったこともあったが、堂々の銅メダルだった。
「実は、バイクでこけてしまったが、立て直して完走した。自分のイメージしていたレースができた!」と満足していた。
表彰後、濱田は「この横浜大会を目標にしてきました。一つの闘いを終えたところです。これからの目標は少し休んでから考えたい」と話してくれた。
女子の秦由加子は、パラリンピック水泳のアジア大会に出場した日本代表スイマーで、昨年のレースを観て練習を始めた。オリンピック・トライアスロンに出場する選手もいるような稲毛インターナショナルでスイムを練習している。
「今回、初めて横浜に出場し、完走できて嬉しい」と、素直な喜びをあらわにしていた。
鉄人・古畑は5位
4月にアジア大会にも出場し、リオをめざすベテラン古畑俊男(PT4/下腿切断・東京都)は、あらたなクラス分けでも激戦区となったPT4(立位)で、5位に終わった。タイムは1:08:56で、4位だった昨年のグランドファイナル・ロンドンの01:13:25を上回る力走だった! 世界のレベルが急速にあがっていることが感じられる。
今大会で、日本の選手2名がクラス分けの段階で失格となった。障害が軽すぎると、出場が認められないという問題で、リオパラリンピックに向け、この問題がどうなるかが注目される。
インタビュー:ヤニック・ボルソー選手
*トップの写真:佐藤亮