入場者数・3240名が見守るなか、2020東京に向け2年目になる国際親善試合「三菱電機ワールドチャレンジカップ2018」が開幕した。
IPC(国際パラリンピック委員会)公認大会ではないが、この8月にハンブルグ(ドイツ)での世界選手権を控えるホームチーム・ドイツを迎え、パット(パトリック)・アンダーソンを要するカナダ(リオ11位)、2014世界選手権優勝、アジアオセアニアでのランキング1位のオーストラリアを迎えた4カ国が総当たり戦で予選リーグを戦い、最終日(10日)に順位決定戦が行われる。
日本、ドイツとの開幕戦を制す
リオパラリンピック(2016年)8位のドイツ代表チームと9位の日本代表チームの試合。日本は、ドイツを相手に65ー60で勝利、開幕戦をホスト国として自分たちのペースを崩さず勝ちきる試合を見せてくれた。
中でも大きく期待される若手の古澤拓也(3.0・G/パラ神奈川スポーツクラブ)が2度の3ポイントシュートを含む5本のシュートを決めて大活躍した。
「自分のシュート、持ち味も出せた。自分たちがやってきたものを出すという体験ができた!」と、試合後の公式インタビューで感想を語っていた。
チーム最多の15得点を決めた日本のベテラン、そしてエース・藤本怜央(4.5・G/宮城MAX)は、ほっとした表情で
「今日は開催国として、勝つ試合にしたかった。平日にも関わらず、たくさんの応援に励まされた。ヘッドコーチからは点を取るよう、そしてチームを作ることに集中して欲しいと言われていた。課題は、日本のバスケのスピードで40分間安定したプレーをし続けること。この場所で、2020東京パラリンピックが開催されるので、ぜひ、ここが認知されるといい。ぜひ応援して欲しい」
及川晋平ヘッドコーチは「ディフェンスの効いた試合ができた。明日は昨年ディフェンスで悔しい1点を逃したオーストラリアとの試合を控えている。ぜひ応援して欲しい」と語った。
王者・カナダ、その資質をどこまで引き上げられるか?
車いすバスケットボールの世界で、不動の王者として知られていたカナダ・38歳の「パット・アンダーソン(4.5・G)」。
リバウンドでボールを持ったらシュートまで時間をおかない、パットとカナダチームのプレーは、かつて多くの人々にこのスポーツの面白さを伝えてくれた。
パットは、パラリンピック3大会、シドニー(2000年)、アテネ(2004年)、ロンドン(2012年)とカナダに金メダルをもたらした。ロンドン後、世代交代したチームをサポート、2020東京で、再び金メダルを取り返すためカナダチームに復帰した。
カナダは、リオ大会で大敗を喫しているが、元々、チーム全員が王者の資質を備えていると言っていいだろう。この試合でどこまで成長できるかが、東京へ2年と迫るカナダにとって非常に重要な試合となっている。今回多くの日本人の前でその輝きの片鱗を見せることができるだろうか。
オーストラリアとの試合は、スタートからパットを入れた布陣で前半戦までは互角に進んだ。第2ピリオドでは、リバウンドからの攻撃の速さを見せつけるカナダの持ち味が発揮されたが、ハーフタイムを挟んで第3ピリオドでオーストラリア11番トム・オーネイルソーン(3.0・G)、7番ショーン・ノリス(3.0・G)に3ポイントシュートを含む多くの得点を与えてしまい、大差をつけてしまった。
「チームの現状の位置を確認したい」と、練習試合でカナダのマテオ・フェリアーニヘッドコーチは話していた。
しかし、世界選手権もあり、招待試合のこの大会にオーストラリア、ドイツはベストメンバーできているとは限らない。ベストメンバーがいる日本との戦いは、2日目(9日)19時からである。自分たちのスタイルを開花させ始めた日本チームとの試合が楽しみだ。
女子チャレンジマッチ、オーストラリア戦
女子も、パラリンピックへの強化と地域のパラスポーツ浸透のため、オーストラリアチームを招待してキャンプとゲームを開催している。目標は10月のアジアパラ(インドネシア)だ。
浦安(千葉県)を拠点に練習、試合は男子の会場と同じ「武蔵の森総合スポーツプラザ」で行われている。チャレンジマッチ初日(8日)は、ベテランの網元麻理(4.5)がリード、藤井郁美(4.0)とのコンビネーションを重ね、オーストラリアから点を取り、勝利した。次の試合は10日、13時50分から第2試合(最終)が行われる。
<初日・6月8日の結果>
GAME1 日本65ー60ドイツ
GAME2 オーストラリア73ー44カナダ
日本生命女子チャレンジマッチ 日本56ー42オーストラリア
パラフォトの取材はニコンイメージングジャパンによる撮影機材協力により行われています。