関連カテゴリ: 千葉, 国際大会, 地域, 夏季競技, 車いすラグビー — 公開: 2018年5月27日 at 7:55 AM — 更新: 2021年5月29日 at 11:18 PM

決勝へイギリスと日本!~2018ジャパンパラ ウィルチェアーラグビー~

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26日、大会2度目になる日本-イギリス戦で。ともに1勝1敗のこの2チームで最終日の決勝戦を戦う。日本のエース池崎大輔(左)と背番号21番・池透暢の背中を挟んでイギリスチームのJim Roberts (写真・水口之孝)
26日、大会2度目になる日本-イギリス戦で。ともに1勝1敗のこの2チームで最終日の決勝戦を戦う。日本のエース池崎大輔(左)と背番号21番・池透暢の背中を挟んでイギリスチームのJim Roberts (写真・水口之孝)

24日(木)に千葉ポートアリーナで開幕した「2018ジャパンパラ ウィルチェアーラグビー競技大会」は、予選リーグの3日間12試合の日程を終えた。戦いを繰り広げているのは、日本・イギリス・スウェーデン・フランスの4ヶ国。5勝1敗同士の日本とイギリスが、27日(日)13時から行われる決勝戦に進んだ。

日本-イギリス、リーグ戦で1勝1敗

日本は25日のイギリス戦で、キャプテンの池透暢(3.0、Freedom/21番)が体調不良で欠場、第3ピリオドには5点差まで広げられた。エースの池崎大輔(3.0、北海道BigDippers/7番)と島川慎一(3.0、BLITZ/13番)のコンビネーションで試合終了間際に1点差まで詰め寄るも、50-51でイギリスに敗れた。

島川(左)と池崎(右)。この試合のトライのほとんどが、彼ら2人によるものだった (写真・内田和稔)
島川(左)と池崎(右)。この試合のトライのほとんどが、彼ら2人によるものだった (写真・内田和稔)

26日のイギリス戦では、池がスタメン出場。高さとスピード、持ち味のロングパスを武器に、48-45での勝利に貢献した。イギリスのハイポインター・Jim Roberts(3.0/9番)は、「ユキノブが出るのとそうでないのでは違いがあった」と試合後にコメントした。

池透暢。高さを生かしたプレー。パスの精度は車いすバスケ選手時代に磨かれたものだ (写真・水口之孝)
池透暢。高さを生かしたプレー。パスの精度は車いすバスケ選手時代に磨かれたものだ (写真・水口之孝)

日本の狙いは「選手たちのステップアップ」

日本は、今大会を「世界選手権に向けた選手の成長の機会」と位置付けている。ポイントは主に2つ。

1つめは、日本代表では初めての女子となる倉橋香衣(0.5、BLITZ/3番)の起用。ジャパンパラには2回目の出場で、ケビン・オアーヘッドコーチは「まだまだ発展途上だが、チームに欠かせない存在だ」と期待を寄せている。

ウィルチェアーラグビーには選手に持ち点があり、0.5(一番重い障害)から3.5まで(一番軽い障害)まで7段階のクラス分けがされている。試合では、コート上の4人の持ち点の合計が8.0以内になるようにしなければいけないが、女子が加わると1人につき0.5点が追加される仕組みになっている。つまり、倉橋が入ると合計が8.5点以内まで可能となり、より持ち点の高い選手がプレーする機会が生まれるのだ。

相手の道をふさいで味方のスペースを作る倉橋の役割は、今大会でも随所に発揮されている。まだ競技歴2年の倉橋は、170cm・51kgと細身の体のため、パワーをつけるためにウエイトトレーニングと食事量を増やしている最中だ。「体の大きい男子選手にタックルするのは全く怖くない。むしろ楽しいです」と笑顔だった。

倉橋香衣。チームメイト曰く、武器は笑顔。トレードマークのヘアバンドは6種類ある (写真・久下真以子)
倉橋香衣。チームメイト曰く、武器は笑顔。トレードマークのヘアバンドは6種類ある (写真・久下真以子)

2つ目は、「3.0のいないライン」。

日本の主力である、池・池崎・島川の持ち点3.0の3人。今大会はこの3人のいずれもコートに立たない時間帯をあえて作った。狙いは、3人を休ませてパフォーマンスを上げること。ここで活躍したのが、永易雄(2.5、Freedom/33番)だ。競技歴は15年と長いものの、パラリンピック代表としては2008年の北京以来遠ざかってきた”代表復活組”だ。長い手と速さを生かしたプレーは池を彷彿とさせ、「2.5の僕が3.0と同じような動きができると、ラインの選択肢がとても広がるんです」。
ケビンヘッドコーチも「ミッドポインターの育成は重要な課題」と話している。ベンチからも一番大きな声を出しチームを鼓舞させる姿に、主力への成長が期待できそうだ。

永易雄。目標は「池透暢」。プレースタイルや人間性すべてに憧れているそうだ (写真・久下真以子)
永易雄。目標は「池透暢」。プレースタイルや人間性すべてに憧れているそうだ (写真・久下真以子)

海外チームの今大会への位置づけは?

日本と並んで5勝1敗のイギリスは、ジャパンパラに過去2回出場しているものの優勝経験がなく、「必ず勝てるように戦略的に臨んでいる」とPaul Shawヘッドコーチ。

イギリスのヘッドコーチ・Paul Shaw。リーグ戦の感想は「疲れたよ」。日本との熱い優勝決定戦を誓った (写真・内田和稔)
イギリスのヘッドコーチ・Paul Shaw。リーグ戦の感想は「疲れたよ」。日本との熱い優勝決定戦を誓った (写真・内田和稔)

6戦全敗のスウェーデンは、Marko Norrbacka(3.0/12番)とAndreas Lilja(3.0/14番)を新たに起用した。狙いは世代交代に備えて、2~3年後のチームの柱を作ること。ただ、今年6月のカナダカップ以降はベテランも戻ってくるので「次は自分たちのやり方ができる」と話すのはキャプテンのTobias Sandberg(3.5/6番)。日本が再び簡単に勝てるというわけにはいかなさそうだ。

スウェーデンTobias Sandberg。右肩には「虎」のタトゥーが。「漢字の意味が分からず、”鳥”にしようかと迷っていたんだが、チキンよりタイガーの方が強い感じで結果的に良かった!」とエピソードを話してくれた (写真・内田和稔)
スウェーデンTobias Sandberg。右肩には「虎」のタトゥーが。「漢字の意味が分からず、”鳥”にしようかと迷っていたんだが、チキンよりタイガーの方が強い感じで結果的に良かった!」とエピソードを話してくれた (写真・内田和稔)

勝ちにこだわるか、若手の育成か。同じ大会でも目的はそれぞれだ。

【リーグ戦試合結果】

1日目(5月24日)
・第1試合 日本57-29スウェーデン
・第2試合 イギリス54-34フランス
・第3試合 フランス45-47日本
・第4試合 ウェーデン23-65イギリス

2日目(5月25日)
・第5試合 フランス62-34スウェーデン 
・第6試合 日本50-51イギリス
・第7試合 スウェーデン29-59日本
・第8試合 イギリス53-44フランス

3日目(5月26日)
・第9試合 フランス41-52日本
・第10試合 イギリス54-21スウェーデン
・第11試合 スウェーデン31-55フランス
・第12試合 日本48-45イギリス

(校正・佐々木延江)

この取材はニコンイメージングジャパンによる撮影機材協力により行われています。

 →2ページで「ウィルチェアーラグビー普及への課題は?」
 →3ページで「26日4試合のフォトギャラリー」

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