2月にオリンピックの熱戦が繰り広げられた韓国・江原道の街、平昌。一時静寂を取り戻したオリンピックスタジアムに、義手・義足のパフォーマー、Myeongiin SHIN氏による大太鼓の音色が響き渡り、新たな熱戦の幕開けを告げた。
現地時間3月9日午後8時過ぎ、平昌冬季パラリンピックの開会式が行われた。12回目を迎えた今回の冬季パラリンピックへは、49カ国、567名の選手が参加する。前回のソチ大会を上回り、過去最多となった。
アルペンスキー(座位)に出場する村岡桃佳(早稲田大学/ LW10-2)が旗手を務める日本選手団は33番目に入場した。村岡は、10日の滑降を皮切りに開始するアルペン種目を前に、大役を全うした。日本からは、車いすカーリングを除く5競技に38名がエントリー。メダル6個を獲得したソチ大会を上回る成績を目指す。
日本代表の次に入場したのは北朝鮮代表。クロスカントリースキーに出場する2名の選手が姿を現すと、会場から歓声が沸き起こった。
国家的なドーピング問題を抱えるロシアは国としての参加が認められておらず、基準を満たした選手たちは個人資格の中立選手(NPA)として、国旗を持たず、パラリンピック旗を掲げての入場となった。
平昌市長のLEE Hee-beom氏に続き、スピーチを行ったIPC会長のAndrew Parsons氏は、パラアスリートたちに対して激励の言葉を述べ、続いて、韓国大統領のMoon Jae-in氏が開会宣言を行った。
終盤の演出『Passion Moves Us』では、プロジェクションマッピングとLEDを組み合わせた集団行動が展開された。ホイールが発光する車いすに先導されたパフォーマーたちが青白い光に包まれながらステージで大きな渦を描く。表現するのは「Passion(情熱)」が伝播していくさまだ。
続く、聖火点灯では、“Final Torch Relay”会場内でも6度のリレーが行われた。それぞれに意味づけがあり、6番目のテーマは『パラリンピックとオリンピックの共存』だった。カーリングの韓国代表で、先の平昌オリンピックでも活躍し、“メガネ先輩”の愛称で親しまれたKim Eun-jung選手と、車いすカーリングの韓国代表SEO Soonseokが共に聖火台に火を灯した。
韓国は今大会に向けて、カーリングを強化し、国内でもカーリング熱が高まっているが、オリンピック・アスリートとパラリンピック・アスリートの共存の象徴でもあったというわけだ。
会場上部に設置されたモニュメントは、4つの花びらを連想させる。それぞれ「Courage」「Determination」「Inspiration」「Equality」を表しているという。4つの花びらは最後に閉じ、「共存(Coexistence)」が表現された。
上述のIPC会長パーソンズ氏も、スピーチで「我々はスポーツを通じて共に世界を変える」と表現し、“共にあること”が強調された開会式となった。
平昌パラリンピックは明日3月10日朝に実施されるアルペンスキー・滑降を幕開けとし、9日間に渡って熱戦が繰り広げられる。開会式が表現した“情熱の伝播”がいよいよ始まる。
(校正・佐々木延江)