いよいよ今夜開幕を迎える平昌パラリンピック。翌日10日の日韓戦から、8年ぶりに大舞台へ挑むアイスホッケーの戦いが始まる。試合を前に、チームを率いる中北浩仁監督とキャプテンの須藤悟選手が記者会見に臨んだ。
Anything can happen !
5日の平昌入り後、イタリア、スウェーデンとの練習試合を行った代表チーム。キャプテンの須藤選手は「相手のスピードや身体のサイズなど、実際に戦ってみないとわからない試合感を知るいい機会だった。また、スウェーデンは新しい選手も参加していたので新鮮な発見もあった」と振り返る。現地でゲーム感覚を養うなか、1次リーグ初戦は開催地・韓国との一戦だ。
韓国は現在世界ランキング3位。7位の日本にとって格上の相手である。しかしながら、開催国との初戦に中北監督は「望むところだ。わくわくしている」と意気込んだ。これまで日本代表が積み上げてきた守り重視・経験を活かした組織プレーを軸にするとした上で、「初戦は誰でも緊張するし、監督陣の采配が必ずしも当たるとは限らない。そうした意味では、”Anything can happen.”チームの勝ちたいという気持ちがどれだけあるかが重要」と語る。
須藤はメンタリティについて触れ、「向こうは開催地ということで相当な緊張感やプレッシャーがあるはず。そこに僕らの勝機がある」と分析した。
重要な一戦を前に、心強い戦力も加わった。DF三澤英司選手の復帰だ。三澤は昨年10月の最終予選のドイツ戦で左鎖骨を骨折する怪我を負い、戦線離脱。今年2月の熊本合宿から復帰を果たし、再び代表チームに合流した。「待ち望んだ3ヶ月だった。彼が入ることで機動力が非常に高くなる。彼も悔しい思いをしていただろうから、その思いをぜひ初戦からぶつけてほしい」と中北監督は期待を寄せる。
一方の須藤も、今年1月のイタリア遠征の最終戦で右足のくるぶしを骨折。現在は痛み止めを飲んで対応している。
大舞台を前に現在の心境について「ここまで来たら、やるしかない。一時は自分がこの場所にいられるのか、と思うところもあった。そういった意味では今パラリンピックの空気を感じられて喜びの方が大きい。このリラックスした雰囲気をいい結果に繋げていきたい」と思いを口にした。
中北監督は「最近、選手には「135分」という言葉を伝えている。45分×3試合を戦い切ればメダルに届く。これまで悔しい思いをしてきた8年間の思いを全力でぶつけてほしい。必ずやってくれると信じている」と勝利を誓った。日本代表チームは明日、韓国戦に臨み、11日にアメリカ、13日にチェコと対戦する。8年分の思いをぶつける時が、やってきた。
(校正・佐々木延江)