3月に平昌(韓国)で開催されるパラリンピックで正式種目となる「スノーボード」。
長野県小谷村にある白馬乗鞍温泉スキー場・里見ゲレンデで全国障がい者スノーボード選手権大会が行われ、日本代表の成田緑夢(24歳/LL2・左膝下麻痺/近畿医療専門学校)と、小栗大地(37歳/LL2・右大腿切断/三進化学工業)が出場。平昌前最後となる国内唯一の全国大会で、シーズン終盤の滑りを披露した。
1日目・予選のレースは、雪のため視界が阻まれ苦心したが、各選手が無事に完走した。
パラスノーボード2シーズン目になる成田は、シーズンのワールド杯でパラリンピック種目であるスノーボードクロスで2回優勝、バンクドスラロームでも初めての優勝を果たした。アメリカ、フィンランドの強豪選手らを制して、ワールド杯総合優勝を果たし、世界ランキング1位と実力ある選手に成長した。
1日目を終えた成田は、「雪で視界が塞がり苦手なレースだった。(自分は)硬いパウダーの上が速く滑れる。これから1週間の合宿で体調を整えて、平昌につなげたい。いつでも7割くらいの力で自分の(ベストな)走りが出せるようになりたい」そして「英語ができるようになり、世界に発信したい」と話していた。
成田より障害の重い右大腿切断の小栗は、プロスノーボーダーから2013年にパラリンピックを目指し転身。今シーズンのワールド杯でも優れた結果を出している。
1日目を終え、「本格的なコースで楽しかった。義足のベンディングの調整をし、エッジングターンが入りやすくなった。平昌ではスタートセクション、バンクの出口での加速がポイントになる」と話していた。
小栗と同じクラスで、陸上競技のトップアスリートでもある日本代表・山本篤(35歳・新日本住設)は夏は走り幅跳びを続けながら、スノーボードにも打ち込んでいる。体調不良のため出場しなかった。
パラリンピック正式種目となり、世界のパラスノーボードの競技レベルが上がるなか、日本のスノーボーダーにとっても一つの楽しみが増えると同時に、急速な競技環境の変化、切磋琢磨の中で淘汰される選手もいる。いずれもパラリンピック・スノーボードを通じてパラスポーツの醍醐味を伝える場が増えることになる。今後の選手の発信、競技の展開が楽しみだ。
大会2日目は、好天に恵まれ決勝が行われた。来月、平昌での最高峰の舞台へ、3人の義足のスノーボーダーが日本を代表して出場する。