クリスマスで賑わう横浜で、週末の2日間「マリノスカップ・電動車椅子サッカー大会」が開催され、全国から8チームが横浜ラポールに集まった。
パラスポーツの中でも最も障害の重い人が行えるスポーツ、電動車椅子を使うサッカーには、日本標準の時速6Kmと、世界標準の時速10kmのカテゴリーがある。これまで、日本国内の環境では6kmが主流で、障害のある人がサッカーを楽しむための普及が重視されていた。しかし、多くの選手が、スピーディで世界との競争につながる10kmが定着することを切望していた。
ついに昨年より時速10Kmでの試合が、ここマリノスカップでも行われるようになり、横浜から世界への取り組みが本格的になろうとしている。
その10kmの試合は、地元名門・横浜クラッカーズと前回大会優勝のFCクラッシャーズ(長野)の宿敵同士による対戦となった。初日・第1試合1−0で横浜がリード。
翌日の決勝戦もこの2チームで争われ、前半に横浜クラッカーズ・永岡真理が2点を先制。後半にFCクラッシャーズが1点を取り返すが、勢いに乗った横浜が優勢、勝利を勝ちとった。
新たなうごき
また今年10kmは、20歳以下のチーム「U20」が10kmに初出場、2日目の試合で横浜クラッカーズを相手に3−1と敗れたが健闘した。
6kmのカテゴリーでは、北海道で結成されたばかりの「Safilva」が初出場。ベテラン揃いのウルトラフォースに6−0という大差で勝利。強豪・BLACK HAMERSとの決勝は3−0でBLACK HAMERSが勝利し北海道は準優勝。HAMERSのGKに「なかなか、苦戦でした」と言わせる存在感をみせた。
北海道の試合を観ていた横浜クラッカーズの平野誠樹監督も、「厳しい練習環境でもチームが工夫しているのがわかる」と、試合後にチームビルディングに尽力してきた竹山侑希のところへ行き健闘を讃えた。一方、竹山は「10kmで出場したかった。今回は課題も見え、これからは攻撃力をつける練習をしていきたい」と話していた。
横浜クラッカーズ竹田の引退
2日間の試合が終わり、長く横浜クラッカーズで活動した竹田敦史の選手引退が発表された。竹田は、1976年生まれで、競技歴20年を超えるベテランプレーヤー。今年は日本代表としてフロリダでの世界大会に出場。
40代となった年齢もあり、現役を引退。今後は仕事や、チームの後輩の指導にも力を注ぎたい。
Jリーグ横浜F・マリノスとともに
15回目を迎える今大会は、初めて2日間での開催を試みた。大会ボランティアや、チアリーディング、毎年恒例の体験交流会にも、学生や小さな子どもたちが参加していた。
マリノスカップの企画に長く携わってきた、横浜マリノス・ホームタウンふれあい事業部の望月選さんは、マリノスカップの課題や今後のパラサッカーの振興について次のように話していた。
「ラポールの施設は、障害者専用施設であり安心ですが、観客席が少ないため、手狭となってきています。2020に向けて市内の体育施設が改修されつつあるので、バリアフリー対応が行き届いた施設となるでしょうから、この大会も文化体育館などでの開催を目指していきたい。
サッカーJリーグチームとして、マリノスは唯一、知的障害のサッカーチーム「フトゥーロ」を持っています。サッカーの振興として、(JFAが支援する)障害者サッカー7団体の参加するイベントを横浜でも開催していきたい」
<参考>
『横浜F・マリノスカップ 第15回電動車椅子サッカー大会』と横浜中央図書館『電動車椅子サッカーの世界』展(1月6日まで開催)のお知らせ(F・マリノスHP)
http://www.f-marinos.com/news/detail/2017-11-24/160000/103748