2020東京パラリンピックの種目「パラトライアスロン」のデモンストレーションが3年後の会場・お台場海浜公園(東京都港区)で10月15日(日)初めて行われ、地元東京の観客を前にその姿が披露された。
第23回日本トライアスロン選手権(JTU日本トライアスロン連合主催)の男女レースの前に、パラリンピック本番より短いスーパースプリント(全長14.5km:スイム500m・バイク10km・ラン4km)で行われ、世界を目指すパラトライアスリート7名とガイドが出場した。
2020東京ホームアドバンテージへ、パラも機会を重ねたい
オリンピック日本代表にとって日本選手権の聖地・お台場をコースにしたオリンピックは、大きなホームアドバンテージに支えられて迎えることとなる。
一方パラリンピックは今回が初めての試走となった。パラリンピックのトライアスロンは日本では横浜で国際レースが開催されてきた。パラトライアスリートにとっては横浜がホームであるが、海外の選手も横浜のコースにはなじみ深く、日本選手のアドバンテージが高いわけではない。
記者会見では、「(実演は)日本選手権でのパラトライアスロンの実施に向けたもの。パラリンピックを想定してはいない」という説明だったが、パラリンピックまで3年を切り、2年後にはテストレースが開催される。コース状況の視察に来日した海外のパラチームもあったようだ。選手たちも同様に捉え、実演レースとはいえ、シーズンの国際戦を終えたオフに入るところを休まずに貴重な機会にのぞんだ。
また選手はさまざまなコースに慣れている。それよりもスタッフ、地元・海外からの観客にとって、2020東京でのメダルをより輝かしいものにするために、参加国のすべての選手がパフォーマンスを出せるようなパラリンピック・コースに整備することが求められる。3年間で大舵をきる準備が必要になるだろう。
心配される水質
東京都とオリパラ組織委員会が行なった水質検査で、基準値を大幅に超える大腸菌など、お台場海浜公園(東京都港区)の水質問題が深刻視されている。普段は遊泳禁止であり、大会を主宰するJTU(日本トライアスロン連合)は国の基準から独立した基準により競技を開催している。今回は、オリパラ組織委員会スポーツ局長・室伏広治氏とともに出場する選手への説明が行われた。
水質問題は昨年のリオのコパカバーナビーチ、東京の次の開催地パリのセーヌ川でもすでに指摘されている。悩ましい大都市の開催地での近年深刻な課題である。スポーツを超え幅広い角度からも解決に向け具体的なアドバイスを求めたい。多くの人が楽しめるトライアスロンであるために、先進国としてより質の高いパラリンピック開催を目指していきたい。
出場したパラトライアスリートは「水質は問題を感じなかった」と話していた。
実際に体調を崩すなどのことは起きていないようだが、安全が確保されてこそスポーツができる。今後3年間で具体的な改善への取り組みが必要となるだろう。
(写真・取材協力 内田和稔 そうとめよしえ)
<参考>
インタビュー:パラトライアスロンで世界へ挑戦。それぞれのシーズンを終えて
http://www.paraphoto.org/?p=14178