明日から始まる障害のある人の国内最高峰の水泳大会「ワールドパラ水泳公認2017ジャパンパラ水泳競技大会」前日の9月1日、会場となる東京辰巳国際水泳場で、注目選手の記者会見が開催された。
今大会で初めて海外から強豪国のメダリストが招かれた。男子50メートル平泳ぎ(SB3)の金メダリストのミゲル・ルケ(40歳・関節拘縮症)などスペインから2選手。ニュージーランドからは、リオで5つのメダルを獲得、女子200メートル個人メドレー(SM10)世界記録保持者のソフィー・パスコー(24歳・下腿切断)ら2人、計4人の海外選手が来日している。
ニュージーランドの宝とも言われるパスコーは、「メキシコの世界選手権に向けてということが一番の課題です。2020東京に向けて、日本の人がどの様な熱意を持って準備しているか?も知りたいと思っています」と話した。
これまで、パラリンピックをめざす日本人選手は、国内では同じクラスの競争相手がいないため、つねにトップ。海外の大会へ行くと苦戦して勝てない。今回、国内で競える貴重な機会となる。そして、まだパラリンピックを見たことのない人々には、世界のパラリンピック競技のレベルの高さを伝えるだろう。
ミゲルと同じクラスの鈴木孝幸(30歳・先天性四肢欠損)は、普段はイギリスで一人トレーニングに励んでおり、帰国しての大会出場となる。「ミゲルと泳げる、日本でこのような機会はないので楽しみです。昔からよく知る選手で、接戦のレースができて嬉しい。メキシコの世界選手権に向けて、自分の進捗を確認したい」と話した。
日本代表トビウオパラジャパンのいま
東京でのパラリンピック開催が決まった2013年、それまでの日本代表の主力を担う選手に加え、若手選手の発掘・育成・強化が始まった。
若い有望選手の中には、2015年イギリス・グラスゴーでの世界選手権を経て、昨年のリオパラリンピックへ出場した選手もいる。しかし、身体障害(S1〜S10)、視覚障害(S11〜S13)の若手選手のうち、リオでの決勝に進出した日本人選手はいない。
リオでメダルをとることができたのは、北京(2008年)、ロンドン(2012年)を経験した山田拓朗(S9)と木村敬一(S11)だった。
パラリンピック全体の競技レベルは、北京、ロンドン、リオの間に急速に伸びた。速い成長のなかで、あとに続く若い日本人選手が成長するのも難しくなっている。
今年大学生になった池愛里(18歳・右足首まひ)は、2013年のアジアユースパラゲームズ(クアラルンプール)で初めて国際大会に出場。グラスゴー2015世界選手権、リオパラリンピックと進んできた。
「リオでは7種目に出場しましたが、個人種目では決勝に行けませんでした。4月から大学へ入学、以前より環境が改善できて、自信も出てきたところです。世界選手権1ヶ月前で(まだ)調整していない状態で、どこまでタイムが出るか。世界選手権に向けての通過点として、収穫のある大会にしたい」と、話していた。
一方、知的障害(S14)の選手はロンドンから正式にクラスが復帰した。リオパラリンピックには日本から7人が出場、4人が決勝に進出、津川拓也と中島啓智が銅メダルを獲得した。今年7月に横浜で行われた知的障害の日本選手権で、メキシコの世界選手権に出場する12人が発表され、知的からははじめて3人の女子選手が加わった。
明日から2日間の大会に、世界選手権に参加する日本代表と、スペイン、ニュージーランドの選手、聴覚障害の選手を含む326人が出場。世界屈指の選手どうし、または大きな挑戦へと立ち向かう選手による熱戦の舞台が繰り広げられる。