鈴木選手の優位性。彼の感覚はおそらく世界一ではないでしょうか。
幼少の頃から親しんできたチェアスキーは、すでに彼の体の一部になっていると言ってもいいでしょう。彼の成長に伴い磨き上げられてきたスキー技術。そしてそれらを身につけられた理由は、良き指導者が身近にいて、そのアドバイスを素直に受け入れたことに尽きます。その素直でしなやかな感覚は、彼の最大の武器ではないかと思うのです。
そんな彼は、昨シーズンから筋力アップと体幹バランスの向上に取り組んできました。その効果は、ただでさえ体の一部となっているチェアスキーをより正確にコントロールすることを可能にしました。
悪雪に悩む海外勢たちと比べて、彼の滑りを見ていると、まるでスピードスケートを見ているような錯覚にも陥ります。
その姿は、人智を越え大自然が人間界にもたらした「美しきバケモノ」と思えてなりません。彼に抗うことを諦めている選手もいるかもしれない。彼の「吸収力」を支える素直さ。その素直さは、より効果的なアドバイスを呼び込み、さらに成長していく。その連鎖反応、相乗効果は、彼を常人では抗えない驚異的な存在にまで高めている、そんな気がしてならないのです。
残りの種目、彼の咆哮が全世界に谺するのが聞こえてくるようです。