2017ジャパンパラ ウィルチェアラグビー競技大会が、5月25日より4日間の日程で千葉ポートアリーナを会場に開催され、オーストラリア、アメリカ、日本の3カ国が結集した。
28日・大会最終日は、3位決定戦と決勝戦が行われた。昨年ブラジルで開催されたリオパラリンピック・トップスリーによる11試合は、強豪各国の経験豊かな選手とあらたな選手を交えての実力と可能性をためす絶好の機会となった。
決勝戦/JPN 51 – 52 USA 日本は世界一へのチャンスを逃す!
昨年リオパラリンピックで、アメリカに残り5秒というところでゴールを決められ逆転された日本。今大会・決勝戦でアメリカを迎えるホストチームは、2点を追い残り4秒で池崎大輔(3.0)※が1点を取り返し、あと1点で同点、さらに延長戦で逆転を狙うチャンスに追いついた。タイムアウトをとり体制を整え、残り0.6秒・池透暢(3.0)からのパスが、ゴールに近づく羽賀理之(2.0)につながったところで、ゲームオーバー。観客が祈り見つめる一瞬の静けさの後に審判のジャッジはアメリカに振られ、惜しくも日本は優勝を逃した。
「すごく悔しい。一つ一つの状況や、プレーの判断、タイムアウトをしっかりとる、ターンオーバーした後のプレー、細かいミスをしないことが大事。以前はアメリカとの対戦は10点差あったが、今回は1点差。チーム力が上がってきていると思います」と、池崎。他の選手も、悔しい反面、手応えのある試合だと実感しているようだった。
アメリカチームの日系人選手、チャック・アオキは、大会MVPに選ばれた。
「とてもエキサイティングな試合だった。アメリカは、これまでの選手に2〜3人新しい選手が加わったメンバーで臨んだ。1ポイント差という、とてもハードな試合だったが、良い試合だった」
と、アオキは感想を話した。また、滞在期間中に日本食が美味しかったことも話してくれた。
3位決定戦/JPN 69 – 55 AUS 日本は世界王者オーストラリアに勝利
3位決定戦は、世界ランク1位のオーストラリアとリオ銅メダルの日本が対戦、日本が勝利した。
リオ金メダルのオーストラリアについては「最終日で巻き返すに違いない」と、考えていたファンもいたであろう、彼ら自身そのつもりだったに違いない。しかし前日のアメリカ戦でエースのライリー・バット(3.5)がひじを負傷、全治1ヶ月ということで欠場。ゲームはベテラン・ハイポインターのマット・ルイス(3.5)とクリストファー・ボンド(3.5)が率いることになり、日本は縦のパスをつなぎ終始優勢を保つことができた。
さらに今後に向け日本が幸運だったのは、日本代表初の女性選手・倉橋香衣(0.5)による組み合わせが試せ、倉橋自身が世界トップクラスを相手にタックルを受け、試合の経験を重ねることができた。これからの日本チームの可能性を大いに高めた。
倉橋は「次の展開を早めようと意識しました。タックルはかなり揺れましたが、嬉しかった!」と、オーストラリアの3.5点プレーヤーで経験豊富なクリストファー・ボンドとマット・ルイスのタックルを受けた感想を、充実した表情で話してくれた。
3位となったオーストラリアのブラッド・デュベリー監督は表彰式のあと落ちついた表情で次のように話してくれた。
「ハードな日々だった。ライリー・バットが負傷したことは、私たちの他の選手に良い経験をもたらした。チームづくりで重要なことは、何より選手全員が経験を積むことだ。リオでの金メダルも、そうして経験を積み、それぞれの役割を明確にこなすことができたことによる」
オーストラリアと日本は、次は8月にニュージーランドで開催されるアジア・オセアニアチャンピオンシップで再会することになるとブラッド・デュベリー監督は話していた。
<結果>
1位 アメリカ
2位 日本
3位 オーストラリア
<MVP>
Charles Aoki (USA/3.0 class)
<ベストプレーヤー>
0.5クラス:Jeff Butler (USA)
1.0クラス:Chad Cohn (USA)
1.5クラス:乗松星矢 (JPN)
2.0クラス:Ernest Chun (USA)
2.5クラス:Clayton Alexander Brackett (USA)
3.0クラス:池透暢 (JPN)
3.5 クラス:Matt Lewis (AUS)
・世界のトップ3が千葉に集合! 〜2017ウィルチェアラグビージャパンパラ競技大会〜
※=( )の中の数字は、障害のクラス分けによる持ち点。障害の重いほど点数が低く、1チーム4名の合計が8.0点を超えないようにしなければならない。女子選手1名が入る場合は、チームの合計が8.5点を超えないよう構成する。
取材協力:そうとめよしえ 写真:山下元気