滑走ラインのシビアさでいえば、森井選手の右に出るライバルはいません。
例えば高速系レース。緩斜面から急斜面へ飛び込む際、当然、次のゲートは見えません。
見えないところへ飛び込んでいくため、どうしても安全なマージンを取りがちです。しかし、森井選手は違います。
インスペンションタイムに完璧にラインをイメージし、ポイントとなるゲートの3つ前から、「その1本」のラインを狙って滑っていきます。そのアタックは誤差数センチもないのではと思えるほど。そのラインを見て、肌に泡が立つことも少なくありません。最短最速のライン。これは森井選手だけに見えているものかも知れません。
さらに、一度イメージしたラインは、レース中は何が何でもトレースするという意志の強さを感じます。どれほど雪面が固かろうと緩かろうと、どれほどゲートセッティングが難しかろうと、です。
彼の強さは、その意志の強さでもあると思うのです。例えて言うなら「火の玉」でしょうか。妨げるものは全てを燃やし尽くす。彼からはそんな強さと激しさを感じます。
どれほど難しく困難なレースであっても、常に「勝利」を目指す意志の強さは、まさに火の玉。彼ほど激しくアツく、そして「暖かい」チェアスキーヤーを他に知りません。