2016ITU世界トライアスロンシリーズ横浜大会で優勝し、レース後のインタビューで「国に帰ったらまたしっかり特訓して、リオの金メダルを狙いたい」と、語っていたアメリカのアリサ・シーリー(PTS2)。昨年のリオパラリンピックの大舞台では、その言葉通り見事表彰台の最上段に立った。
リオで達成した最高の結果について、シーリーは、「金メダルは小さい頃からの夢で、それがかなった。ゴールラインで目にした景色は、みんなが自分を祝福してくれていて、忘れられないくらいすばらしいものだった」と、感動を語ってくれた。彼女の人生にとって、最高のハイライトだったという。
昨年に続き、今年で横浜大会への参加は3度目。5月13日早朝、スイムをトップで終えたのは日本人選手、秦由加子だった。秦の12分1秒に対し、シーリーは12分30秒と、29秒遅れの2位。
しかしバイクへのトランジションでは、秦がPTS2の参加選手中もっと長い2分47秒を費やした一方、シーリーは2分10秒で終え、トップでバイクをスタートしたのはシーリーとなった。そこから終始トップを維持し、トータルタイム1時間21分1秒でゴールテープを切った。
レース後のインタビューで、シーリーは「小さなミスがいくつかあったが、よかったと思っている。ランは思っていたよりも厳しかった。スイムは過去2回この大会ではともに苦戦していたが、今日は完全に計画通りに行った。バイクも、技術的なミスがいくつかあったが、かなりうまく行った。最終的な結果には満足しているが、ミスしたところは次回のレースまでの改善課題としたい」と語った。
昨年と違い今年はやや強い雨の中のレースとなり、パフォーマンスへの影響が懸念されたが、「実はもっと降ってもいいくらいだった。天候もレースの一部で、どんな天候にも備えてトレーニングをしている。レース運びに影響するほどではなかった」という。
金メダリストとなった今、これまでにない新たなプレッシャーにさらされているのでは?とたずねると、シーリーは、「確かに金メダルの時と同様のパフォーマンスをしなくては、というプレッシャーはある。だが結果を出したり周りの期待に応えたりということよりも、自分の内面やひとつひとつの過程に集中して取り組んでいきたい」と、あくまで自分と向き合うことの重要性を強調した。
「実はレース中あまりファンの歓声は聞こえていない。自分自身の内面と向き合うことに集中している」。レース中あまり表情を変えることがないのも、そのためのようだ。
試合前日のインタビューでシーリーは、「今後も何度も横浜に戻ってくることだろう」と語ってくれた。自然と融合しとても美しく、お気に入りの街だという横浜で、また来年も彼女の姿を見ることができそうだ。
<参考>
昨年の記事
・リオパラリンピック(昨年9月)
PT2女子はシーリーが優勝!日本の4名が完走、新たな歴史の始まり!
・横浜トライアスロン(昨年5月)
勝って兜の緒を締めよ。リオへの世界ランク1位、アリサ・シーリー
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