3月13日・大会6日目。パラリンピック・アルペンスキー初のナイトレースが行なわれた。種目は男子スラローム。座位は、最強のチェア・チームとして着実に制覇しつつある。このスラロームを鈴木猛史の金メダルで終えたことはすでに伝えている。
立位は、この日、8年ぶりのパラリンピック出場となる東海将彦(LW3)が42人中11位でフィニッシュ、復帰戦を果たした。
「トリノの時のように、出場種目の全てにメダルに関係するということではないレースでしたが、滑り終えました」
スキー事故で障害をもち2006年トリノパラリンピックに初めて出場、GSで銀メダルを獲得したベテラン選手であるが、バンクーバー直前のケガで欠場して以来、ケガと闘い、道具を調整することに多くの時間を費やしながらソチへの出場権を勝ちとってきた。
クラス分けによるハンディ係数のシステムがあり平等性が計られているとはいえ、スタンディングクラスでは上肢障害と片足選手が上位を占める現状。もとより下肢障害のある選手には困難がある。しかし、このレースでも、重度の下肢障害のあるニュージーランドのアダム・ホール(LW1)が7位に入っている。アダムは両足を紐のようなもので固定して滑走する。まだ例は少ないが、道具の工夫により世界を目指すことができそうだ。
ここにすべてを賭けてきた三澤拓(LW2)は、1本目のスタート直後、4旗門目のポールに乗り上げて転倒した。前日のスーパーコンビのスラロームでも思うような力を発揮できなかった三澤はつぎのように話した。
「前半から行こうと思った。身体がうごかなかったわけではないし、昨日よりバーンは良かった。インを突こうとしたが、リズムがあっていなかった。気持ちのコントロールは必要だったかもしれない。チェアの選手が活躍しているなかで、立位でも存在感を示したかった」
また、この日、初出場の山崎副太郎が2本のスラロームを完走した。
「パラリンピックのレースは、これまでのレースとは違います。自分を大きく見直すきっかけになった」と話してくれた。
・レースの結果
(座位)
1位 鈴木猛史 LW12-2 1:53.78
2位 BONADIMANN Philipp LW11 1:56.46 +2.68
3位 RABL Roman LW12-1 1:56.64 +2.86
4位 森井大輝 LW11 1:57.74 +3.96
7位 狩野亮 LW11 1:59.79 +6.01
DNF 1run 谷口彰
DNF 2run 夏目堅司
(立位)
1位 BUGAEV Alexey LW6/8-2 1:38.97
2位 GAUTHIER MANUEL Vincent LW6/8-2 1:40.24 +1.27
3位 ALYABYEV Alexender LW6/8-2 1:40.70 +1.77
11位 東海将彦 LW3 1:51.17 +12.20
19位 阿部敏弘 LW6/8-1 1:57.92 +18.95
30位 山崎副太郎 LW9-2 2:16.36 +37.39
DNF 1run
三澤拓
小池岳太