3月18日(土)、電動車椅子サッカーの第20回ドリーム・カップ(主催:神奈川県電動車椅子サッカー協会)がトッケイセキュリティ平塚総合体育館で開催され、日本屈指の6チームが集まり3チームずつのリーグ戦、3試合の順位決定戦全9試合が行われた。
電動車椅子サッカーは、国内ではマシンの法廷内制限時速6kmでの大会がほとんどだった。ドリーム・カップは国際ルール(パワーチェアフットボール公式協議規則・10Km)を採用した唯一のクラブチーム大会で、強豪チームが招聘されることから10Kmで戦える国内最高峰の大会となっている。
10Kmはスピードが早く、迫力も違う。現在10Kmで世界を目指すほとんどの選手がアメリカ製の「ストライクフォース」という型のマシンを改造して使用している。
今回注目されたのは、Yokohama Crackers、レインボー・ソルジャー、Nanchester United 鹿児島、Red Eagles 兵庫の4チームに1〜3名の割合で7月にアメリカ・フロリダ州で開催される2017FIPFAワールドカップ日本代表8名が参加しており、各チーム切り札としてゲームを主導している点だ。
優勝は3名で勝ち抜いたNanchester United 鹿児島!
優勝を勝ち取ったのは、通常4名で戦うところを3名、しかも控えなしの状態で勝ち進んだNanchester United 鹿児島だった。
日本代表キャプテン塩入新也と長年コンビを組むパートナー東武範の2人は、この日3試合目となる決勝戦で終始落ち着いた表情を見せていた。対するは長野、エース・飯島洸洋率いるFCクラッシャーズ。
後半に入るとNanchesterの2人が得意の連携プレー、まず東が先制ゴール。絶妙な狙いで飯島のフットガードを利用しながら半ばオウンゴールのような形で奪った。終盤、塩入が見事なストレート・シュートを放ち、やはり、ゴールを守っていた飯島たちのわずかな隙間をボールがすり抜けた。2−0で不利な条件からの優勝。記念すべき第20回大会でまさに伝説をのこすひと幕となった。
試合後、優勝したNanchester United 鹿児島の塩入は、次のように話してくれた。
「人数が少なかった中で、練習して来たことを生かしてタイトルを取ることができた。セットプレーを成功させることができてよかったと思います」
ワールドカップ日本代表のキャプテンにも選ばれている塩入。7月のフロリダでのワールドカップについて聞くと
「サッカーは全員で戦うもの。キャプテンとしても、チームとしても世界1になれるようやっていきたい」と意気込みを話してくれた。
2位となったFCクラッシャーズは、日本一とまで評される飯島洸洋が率いるチーム。電動車椅子サッカーは指先で高性能の電動車椅子を細やかに操ることができるため、多くのサッカーを目指す重度障害の選手がプレーしている。競技性を高めると同時に、体力や体調を調整しながら競技することが求められる。飯島は障害の状態により飛行機に搭乗できないため代表に加わることはないという。残念なことだが、多くの選手や関係者がその実力に注目している。
今シーズンに入りYokohama Crackersに2連勝したFCクラッシャーズは、飯島とともに前半・後半とハーフタイムで戦術共有を重視しチームで戦うサッカーで成功していた。今回1人少ないNanchesterを相手に2点を許してしまった。
決勝戦のあと、飯島は次のように話してくれた。
「とおりにくいところを通されてしまった。(ゴールされる)可能性は読んでいたが、ボール1個分、自分たちの読みが甘く、ないと思っていた隙間があった。悔しさはあるが、それ以上に、塩入・東とタッグを組む選手がどんなワールドカップにしてくれるのか?期待が持てる。楽しみになってきた!」
Yokohama Crackersがレインボー・ソルジャーに快勝、3位!
「ゆっくりと自分たちのペースを作っていくのがレインボー・ソルジャーの持ち味だが、Yokohama Crackersのペースに巻き込まれているようだ。この試合、Crackersは自分たちの力を出し切れている!」前半を終えたYokohama Crackers側スタンドで観戦する人はチームにエールを送っていた。
終盤の選手交代で代わった若手・清水猛留が得点を決めた。日本代表の三上が永岡真理に、永岡がアシストして、清水がシュートを打った。終始自分たちのサッカーを崩すことなく積み重ねられ最後の1点につながった。
(写真・山下元気)