3月6日(月)、2017IPCアルペンスキーワールドカップ白馬大会2日目、スーパー大回転に世界屈指のパラアルペン・アスリート男・女47名が出場した。
本来6・7日の2日間にわたり1レースずつ開催される予定だったが、2日目の天候を考慮し2レースがまとめて行われた。アルペン種目の中でも長い距離を滑るスーパー大回転のレースは天候に左右されやすく世界各地でもレースが中止になることが頻繁にある。
<シッティングクラス>
森井大輝と村岡桃佳が金メダル!
シッティングクラスは1日目の銅メダルにひき続き村岡桃佳が金メダル・銀メダル2つのメダルを獲得、森井大輝が2戦目で金メダル、狩野亮が1戦目で、鈴木猛史が2戦目でそれぞれ銅メダルを獲得。自国開催の意地を見せた。
2度目のパラリンピックに挑戦する村岡桃佳は、1日目の大回転から徐々に順位を上げていく形で優勝を勝ち取った。
「世界トップのメンバーが揃って出場したレースで優勝できて嬉しい。自信につながるレースになった」と村岡は喜びを伝えた。
同時に、2020東京を控え、日本はパラリンピック開催国になったが、パラスポーツ、冬のアルペンスキーに関心をもつ人がまだまだ少ないことを記者たちに伝えた。メディアはとても多くなったが、欧米の大会に比べ一般の観戦客は少ないと村岡は感じていた。
「海外ではアルペンスキーは文化で、たまたまリフトに乗り合わせた人でも、アルペンの選手なの?出場するの?など話題になり、会場には感客も多いですが、日本ではアルペン何それ?という状況かと思います」と話していた。
森井大輝はソルトレークから5大会目になる平昌パラリンピックに向けて緻密な練習を続けていた。シッティングクラスのリーダーであり、自らの知恵や知識を仲間に伝えながら日本チーム全体のレベルアップにも大きな役割を果たしている。
金メダルを獲得した2戦目のスーパー大回転について次のように話した。
「気温の高い中ではいいコース条件で2本目に攻めの滑りができた。フィニッシュできない選手が多かった中での表彰台だが、多くの選手がリスクを取ってきた結果といえる。こういった攻める場面で荒削りな速さではなく速さが見えないくらいに上手い滑りを目指している。上手さと速さの両方のある滑りにはどうすればいいか、この感覚を韓国でのレースでも課題にする。
(最終レースで金メダルを取り)日本開催での雰囲気づくりもでき、多くのメディア、観客の皆さんに応援していただくことができた」
シッティングクラス男子は日本の森井、鈴木、狩野が世界のトップスリーだが、彼らの大きなライバルであるオーストリアのラベル・ロマン(RABL Roman)は健在、新たなライバル17歳のカンプシャー・ユーロン(KAMPSCHEUR Jeroen)が才能を現してきた。
<スタンディングクラス>
三澤拓が銅メダル!
スラロームを得意とする三澤にとってワールドカップ・スーパー大回転での初メダルとなった。
「苦手としてきた高速系種目で初めてワールドカップの表彰台に立てて嬉しい。日本選手5人が表彰台に立つことができ、平昌への準備になる大会だった」
三澤は、ソチ後、片足でのクローチング姿勢で風を受けにくくするためバランストレーニングを取り入れるなどの工夫も重ねてきた。
「低い姿勢でのバランスは難しいが、ようやく力になってきたと思う」と話していた。
レース後、選手たちの多くは平昌(韓国)で開催される来年のパラリンピックのテストイベントに出場する。パラリンピック本番のコースを体験したあと再びジャパンパラのため白馬へ。いよいよ今シーズンも終わりに近づき、平昌パラリンピックへの準備が整いつつある。
写真・山下元気