9月17日(現地時間)、競技10日目。陸上男子走り幅跳び(T42)に、先日行われた100メートル×4リレーで銅メダルに輝いた日本の山本篤(34歳・スズキ浜松AC)が出場し、自己ベストタイの6メートル62センチのジャンプで銀メダルを獲得した。山本は北京パラリンピックでこの種目の銀メダリスト。また、2013年、2015年に開催された世界選手権で2連覇を達成しており、リオパラリンピック日本人金メダル1号を期待されていた。
山本は1本目と2本目の跳躍で、ファールとなったものの飛距離のあるジャンプを見せ好調をアピールした。3本目はしっかり記録を出そうと、確実なジャンプで6メートル47センチの記録を出した。4本目以降攻めのジャンプを見せ、4本目に跳んだ6メートル62センチが最高記録になった。
優勝は6メートル70センチを跳び、パラリンピック記録を更新したドイツのヘインリッチ・ポポウだった。山本とポポウはこれまでも、世界の舞台でライバルとして競い合ってきた。
「僕は山本の真似をして、どうやったらもっと跳べるかを研究してきたんだ。僕たちはいつもお互いに助け合い、高め合い、幸せを共有する。それがパラリンピックという舞台。パラリンピックはある意味、オリンピックよりも人々に多くのことを伝えられると思う。僕たちは障害を持っている。でもそれをネガティブにではなく、ポジティブに捉えて欲しい。僕たちはなんだってできる。ただやろうという気持ちをもつだけなんだ」とポポウ。
山本の5本目の跳躍前、ポポウが山本の肩を叩くシーンもあった。「お前ならできる、という思いで肩を叩いた。僕の記録を超えろと。僕の背中を山本が押してくれて、山本の背中を僕が押す。そうしてきたからこそ、たくさんの人が見てくれているパラリンピックという舞台で最高の試合ができるんだ。」パラリンピックという大舞台で最高の試合をするため、選手同士でも励ましあっていたという。
山本は「表彰台に立ってもやはり悔しいです。8センチでも大きな差ですね。北京のときは取れちゃった銀、今回は金を狙いにいった銀なので気持ちは全然違います。悔しいです。でも、リレーと合わせて2つのメダルを取れたことは嬉しい」と悔しさと嬉しさの混じる表情を見せた。
他の選手については「試合中もポポウと楽しいな、っていう話をしました。やっぱり一人でやってるよりも、ライバルがいることによってもっと上を目指せます。まだまだ、とは言わないまでも、まだ成長できる。これからまた世界記録の更新を目指して練習していきたい。ポポウにリベンジして勝ちたいですね。」と、ライバルの大切さを改めて語った。
他の選手の跳躍前に、山本が観客を煽って盛り上げるシーンもあった。
選手全員で試合を盛り上げる。パラリンピックの新しい側面、面白さを知った。
これからの日本の陸上については、「もっと、日本人選手もやれるぞということを見せないといけないですね。やっぱり陸上は海外に勝てないんだと思わせてはいけない。日本人が試合で勝つことによって、潜在能力のある選手に自分もやってみたいと思ってもらうことが重要です。そのためには、選手の環境を整えなければいけません。自分は恵まれた環境にいますが、やりたいと思った人が、練習時間をしっかりとって、コーチの元で練習できる環境を作らなければいけないですね」と、陸上界全体のレベルを上げる必要性を語った。