終盤に入ったリオパラリンピックは2度目の週末を迎え、各会場には多くのブラジル人観客が詰めかけている。オリンピック・パークでは、朝早くに来て様々な競技やイベント、スポンサーブースを楽しみ、夜遅くに帰る人も少なくない。
食事時には飲食店に長蛇の列が出来るのだが、並んでる間にも会話を楽しむ人が多く、多少時間がかかってもあまりに気にしないようだ。
数ある飲食店の中でも一際賑わっているのがビール店。ビールを飲みながらスポーツ観戦を楽しもう、というのはもちろんだが、その賑わいには別の理由もある。1杯13レアル(400円強)のビールを買うと、缶からプラスチックのカップに移して渡されるのだが、そこにパラリンピック競技のピクトグラムがデザインされているのだ。
カップの総数は23(競技数は22だが、自転車はロードレースとトラックでピクトグラムが異なる)。これがブラジル人のコンプリート欲に火をつけたようで、購入時にどのデザインが欲しいか要望を伝え、店員に探してもらう光景がよく見られた。このやり取りをしていると列に並ぶ時間が増えるので、大会4日目頃から「カップのデザインは選べません」の張り紙が出たのだが、客も店員も全く気にしない。親切な店員だと「どの種目のカップにする?」と最初に聞いてくれる。リストを手に、いくつもの店舗を回ってお目当てのカップを入手している強者の姿もあった。
ただし集めるにあたって注意も必要だ。店舗によっては、在庫が残っているオリンピック競技のカップが出てくることもある。それならまだ良いが、一般的な透明のプラスチックカップが出てきた時のがっかり感は表現のしようも無い。コンプリートするには、複数の店舗を回り事前にカップの存在を確認する根気強さが必要。そこも含めて、ブラジル人はカップ集めを楽しんでいるようだ。
また、特定のソフトドリンクを頼むと、別のカップが入手できる。開会式の際には、日付と共に「パラリンピック開会式にいました」と書かれたものが出てきた。こちらもオリンピック在庫が残っているようで、オリンピック閉会式バージョンも多く流通している。
今回のリオだけでなく、世界的なスポーツイベントではすっかりお馴染みとなった記念カップ。作りがしっかりとしており、普通のカップとして使用可能なので、日常的に大会のことを思い出させてくれる良いアイテムだ。2020年の東京でも登場を期待したい。