大会5日目の9月12日、車いすバスケ予選A組の試合が行われ、日本は予選リーグ最終戦のオーストラリアと対戦した。オーストラリアは、北京パラリンピックで金メダル、ロンドンパラリンピックで銀メダルを獲得し、さらには2014年の世界選手権を制覇している強豪だ。
試合は序盤から両チームとも気合いの入った激しい戦いとなった。日本は、オーストラリアの厳しいディフェンスになかなかシュートを決めることができず、苦しい時間帯が続いた。オーストラリアは体格差と長いリーチをいかした攻撃で着実に得点を重ねていった。
この状況に日本の応援席からは「苦戦してますねー。もう少しシュートが入ってくれればいいんですけど」といった声が聞こえた。
日本も鳥海連志や豊島英がドリブルで切り込んでレイアップシュートを決めるなどしたが、前半を20対34とリードされて終えた。
後半に入ってもオーストラリアの勢いは止まらなかった。特に、7番のシャウン・ノリスと15番のブラッドリー・ネスがゴールを量産した。
日本は後半、疲れの見え始めたオーストラリアと互角の戦いをしたが、前半の点差を縮めることができず、で敗れた。
第4クォーター6分30秒には、鳥海のファールが悪質ととられ、一発退場となるシーンもあった。鳥海はこの日、ボールを追いかけてカメラ席に突っ込むなど気力溢れるプレーを見せ、チームに貢献していた。
試合後鳥海は、「後半のチャンスをつかめなかったことが今日の悔しいところ。一つ一つのプレーを丁寧にやっていくことがチームのためにもなる。この大会を通してそれをやってきたことで収穫になったし、成長にもなったし、自信にもつながった。チームの連携などは自分たちがやってきたことができて、世界にも通用した。あとはフィニッシュの精度を上げていくことが課題だと思う。初めてのパラリンピックでシュートも決めたし、ファールもしたし、いろんな経験ができたと思う」と、自身の成長とチームの課題を振り返った。
藤本「チームワークで戦うことが日本らしく強かったということが手応えとして感じた。あとは40分チームワークで戦うということが、世界と勝っていくポイントなのかなということが、反省点でもあり収穫でもあります。(予選で)6位に入るということが目標だったのですが、目標が断たれたからといって諦めるのではなく、可能性の一番高いところを目指すのがこのユニホームを着る責任だと思っていた。鳥海や村上といった若い選手がこの大会を経験して、短いプレー時間の中でも結果を残せたということは、僕から見ても頼りになったし、今後の4年間で日本が成長していく要素を含んでいるのかなと今日の試合を通して感じた。勝つための素材は揃ったと思うので、あとはこの4年間いかに質高く、精度高く日々を過ごしていくのかで決まっていくと思う」と、今回の大会が4年後の東京に向けて大きな収穫になったことを語った。
及川伸平ヘッドコーチは予選敗退の結果について、「海外との環境との差っていうのもあると思います。東京が決まってからやっとものごとが動き出したので、その環境の遅れっていうのはこの結果に出てるんじゃないかなと。アメリカやオーストラリアは車いすバスケットがスポーツとして洗練されているんですよ。トレーニングの技術や競技の環境面をもっと上げていかなければいけない」と、4年後の東京のために車いすバスケットの競技環境を充実させていく必要性を訴えた。
日本代表は15日、9位・10位決定戦でイランと対戦し、リオパラリンピックを終える予定。