リオパラリンピック・8日・競技初日。男子車椅子バスケットの予選リーグ初戦が行われ、日本は49対65と敗れはしたものの、強豪国トルコに健闘、翌日のスペイン戦に向け収穫を得た試合となった。
及川晋平ヘッドコーチは試合後のインタビューで、
「(選手は)思ったよりナーバスじゃなかったと思います。やろうとしていることにフォーカスできました。初出場の選手もいて体がうまく動かなかったと思いますが、全体的には良い入りはできたと思います。トルコがヨーロッパ2位のチームで強いとうのもあり、そこに対してある程度試合の駆け引きができたことはパラリンピックという舞台で収穫かなと思います」と答えた。
初出場の選手も多い今回の日本代表チーム。40歳にして初めてのパラリンピック出場となる石川丈則は、「予想以上にでかいのと、手が長いということで、通常通るパスもやっぱりなかなか通らずですね、そのへんからベースのリズムも崩れていっちゃったのかなというところがありますね」と、身長差の大きい相手との試合も多い国際試合の洗礼を受けたようだった。
及川晋平ヘッドコーチは、「体格差というものは圧倒的にあるということは分かった上でこ4年間作ってきたので、僕らの戦略とベーシックがその体格差に勝るっていう時間をやっぱりどこまで早く作り上げられるかっていうのがこのトーナメントで一番大事なところなので、じっと待っているという感じです」と話す。
今日のトルコ戦では、トルコの着実なリバウンドからの速攻で得点を奪われるなど、苦戦した一方で、日本のキャプテンの藤本怜央と副キャプテンの香西宏昭を中心とした連携プレーも際立った。
藤本は、香西と同じドイツのチームに所属している。コンビネーションの精度を上げるべく取り組んできた。
「連携が自動的になってきたと思います。空気のような連携を取れるようになってきたのは、ドイツに行ってよかったと日頃から思ってます。あいつ(香西)の、難しいことにチャレンジしていく中でのメンタルのゆらぎだったりとか、僕のイラつきだったりとか。そういう部分を、お互いがお互いを理解している関係で戦えてるというのが、ここにいる意味だと思います。パートナーとしてはやっぱ認め合っている。今日は11点くらい、後で20点取れよって言っとこうかな、明日は」。
藤本は笑ってそう答えた。冷静なプレーを見せる藤本と、機敏な動きを見せながらも的確にボール運びをする香西。どんな瞬間にもお互いの位置を把握し、信頼してプレーをしていることは今日の試合からも見て取れた。
明日からの試合について「大丈夫っす、大丈夫っすから」と自分に言い聞かせるように、しかし力強く答えた藤本。大会三日目のスペイン戦を大いに期待が高まる。
また、試合が行われた会場は、8割強の席が埋まる盛り上がり。車椅子を使いこなし、こけても可憐に起き上がる選手の姿に純粋に驚き、賞賛を送るたくさんのあたたかいブラジル国民の姿が見られた。
さらに、日の丸を振って家族で応援に駆けつけたブラジル人も多く見られた。幼稚園に通う子供たちとともに応援に来た二家族に、日の丸を選んだ理由を聞くと、「世界の中でもとても好きな国で、とても敬意も感じているから応援に来た。金融や経済など自分も日本から学んできた。今日は負けてしまったが、明日からも引き続き声援を送りたい」という声が。
さらに、日本の戦いぶりについて聞くと、「とても冷静だったと思う」と選手たちへエールを送った。
一方で、地元ブラジルの日系人協会の皆さんからは叱咤激励も。「日本チームはおとなしかった。相手のトルコは当たりも強かった。もっともっとハングリーに攻めていってほしい」。
「負けて勝って、勝って勝って勝って。それが僕らのスタイル」。藤本選手が語る日本の勝ちスタイルを、明日も会場で日本人ブラジル人をはじめたくさんの観客が大きな声援とともに見守ることになるだろう。
(取材サポート:堀潤)