11月6日、車いすラグビーの「第3回千葉ロータリークラブカップ」が千葉市花見川区の幕張コミュニティーセンターで行われ、ファンの目の前で選手たちが熱戦を繰りひろげた。
主催者の千葉ロータリークラブは、障害者と健常者が共に生きるインクルージョンな地域社会を目指して、2017年に第1回の大会を開催。千葉に拠点を置く「RIZE CHIBA」を中心に、毎回3チームが参加している。
今回は「RIZE CHIBA」のほか、日本代表の橋本勝也(3.5)が所属する「TOHOKU STORMERS」(東北)、羽賀理之(2.0)や倉橋香衣(0.5F)が所属する「AXE」(埼玉)が参戦。総当たりで3試合が行われ、AXEが全勝で優勝を飾った。
「車いすラグビーの魅力はやっぱりスピード。それに時間をカウントするときのベンチスタッフと選手の一体感もすごいですね」と話すのは、千葉ロータリークラブの川﨑鉄男会長。大会開催を通して今後思い描く社会については、「私は障害者施設を経営しているんですけど、まだまだ社会との壁がある。障害のある人もない人も、一緒に健康に生きる社会を作っていきたい」と語った。
また、千葉市の指定管理者として幕張コミュニティーセンターを運営する國吉晃甲さんは、「幕張は、東京オリンピック・パラリンピックの会場にもなった街なので、今大会を開催するにはピッタリな場所だと思った。車いすラグビーは国際大会や日本選手権など、多くの大きな大会が千葉市で行われているので、オール千葉で車いすラグビーを盛り上げていきたい」と話した。
また、「RIZE CHIBA」に所属する日本代表の今井友明(1.0)は「試合の結果としては課題がたくさんあったけど、久しぶりに大会を開けたのは一歩前進です。ロータリークラブの皆さんが施設の方たちと協力して大会を作って、千葉に拠点を置くチームとして関われたのはすごくよかった」と振り返った。
今大会の特徴は、選手とファンの距離が近かったこと。サイドラインのすぐそばに椅子を並べ、観戦エリアが作られていた。スタンドやテレビ越しではわからない、選手の息遣いや会話がクリアに聞こえてくるのは新鮮だった。
観客席には、特製のマスクをつけた2人のファンの姿が。東京パラリンピック以来の熱心なファンで、この日はそれぞれ東京と横浜から早起きして幕張にかけつけたという。
「SNSで車いすラグビーを応援しているファン同士ということで知り合って、去年11月のジャパンパラ競技大会で実際に会って、意気投合したんです。このマスクはそんな4人の仲間で作りました。どんな文字を入れるかとか、日本代表ユニフォームみたいに桜の花びらを12枚入れようとか、みんなで話し合ってデザインしたんです」。
「なかなかコロナ禍で有観客の試合が開催されない時期が続きましたけど、ようやくこのマスクをつけて応援できました。しかも、こんな至近距離で見ることができて大興奮ですよ。ここで今日の運を全部使い果たしちゃうんじゃないかっていう気分です」。
東京パラリンピックがつないだファンの輪。今後ますます広がってほしいと切に願う。
【施設を運営する國吉さんがまとめた大会動画】