3日、束の間の休みを一日挟み、世界選手権も後半に突入です。今日のレースは、男子ジャイアントスラローム。しかし、コースが思いのほか軟らかく、レース直前に開かれた緊急のチームキャプテン会議の決定により、チェア(LW10〜LW12)クラスの競技は明日に順延となりました。したがいまして、今日行なわれたのは男子の視覚障害(B1〜B3)統合クラスと、立位(LW1〜9)4クラスの、計5クラスということになります。
ジャイアントスラロームは、2本滑った合計タイムで競われます。その1本目、日本チームからはふたりの選手が3位という好位置につけました。スーパーG金メダリストの東海将彦選手(LW3/2)と、ワールドカップ2位を記録している阿部敏弘選手(LW6/8)です。ともに荒れぎみのコースを積極的に攻め、強豪選手たちの一角に食い込みました。
この1本目では、三沢拓選手(LW2)も快調な滑りを見せていましたが、残念ながらゴール直前で途中棄権。丸山直也選手(LW4)も、スキー板が外れて途中棄権となりました。
メダルのかかった2本目は、雪面硬化剤が効いて1本目よりも締まったコースに、性格をがらりと変えた旗門が立ち、選手を待ち受けます。とくにコース終盤で大きなミスを犯す選手が相次ぐ中、日本の東海選手がスタート。しかし、中盤の緩斜面でラインがあふれ、ほとんど止まりかけてしまうほどの大失敗をしてしまいます。その結果、順位は3位から5位に落ち、つかみかけていたメダルを逃すことになってしまいました。
一方、阿部選手は、この2本目にもすばらしい快走を見せてくれました。メダルを意識して守りに入るどころか、1本目以上に攻める滑りを展開し、ゴールをめざします。その合計タイムは、1本目2位の選手を上まわり、銅メダルから銀メダルへのランクアップを自らの手で勝ち取りました。
これで日本チームの獲得したメダルは、金2個、銀2個、銅1個となりました。長野パラリンピックの獲得メダル数に、すでに並んだ計算になります。しかも、競技日程をあと3日も残した段階での数字ですから、これからさらに増えることも期待してよいでしょう。
明日は、GS競技の2日目が行なわれます。出場するのは、女子選手と男子チェアクラスの選手です。選手たちの健闘を祈ってください。(写真、阿部選手の滑り)
阿部選手のコメント
「急斜面が多くむずかしい中、2本目でひとりまくれた(抜けた)ということが、すごくうれしいです。2本目は、自分でもかなり良い滑りができた気がします。セットが細かかったんですけれど、そのほうが自分に向いているんだと考えるようにして、結果的にうまく滑れたと思います。1本目のときはかなり荒れていたんですけれども、2本目はほとんど気になりませんでした。これでやっと結果が出ました。次のスラロームもねらいます」
伴一彦チーフコーチのコメント
「今日こうしてまたメダルを積み上げられたということが、今年の日本チームの強さを表わしています。選手たちは皆、精神的に強くなっている部分と技術的に伸びている部分とがうまく噛み合ってきていて、かならず誰かが日替わりで上位に入ってきます。今日の阿部は、2本目の滑りで銅メダルを銀メダルにしたました。東海も、2本目で落ちてしまったのが残念ですけれど、収穫はあったと思います。三沢も1本目の途中までは良い滑りでした。選手たちそれぞれが、明日につながるレースができたと思います。ずっと毎日、『今日の経験を明日につなげよう』と言い続けてきているんです。今日のこのレースも、きっと明日への弾みになると思います」
(写真、銀メダルを手にする阿部選手)
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【堀切】