パラフォトニュース
記事掲載日:2003/11/23

NPO法人日本知的障害者スポーツ連盟設立総会

 22日、日本知的障害者スポーツ連盟(JSF−FID)がNPO法人の設立総会を開催した。会場は白鷺養護学校(東京都江戸川区)。NPO法人化により、知的障害者スポーツ事業に関わる手続き等の公平で迅速な運用を目指す。同会議で中曽根弘文氏が会長に就任、副会長に橋本聖子氏ら5名、理事長には引き続き後藤邦夫氏。

 2002年、INAS−FIDサッカー世界選手権大会の開催は、知的障害者に対する誤解や無理解を改め正しい知識の理解をはかるきっかけを与え、関わった多くの人々にさまざまな形での感動を与えた。広く一般には成功に終ったと評価されている。しかしながら、同時に日本における知的障害者スポーツの問題点があらわになり、知的障害者を支援してきた関係者に多くの課題を投げかけた大会でもあった。

 物事の判断に健常者のサポートを必要とする知的障害者が、競技としてスポーツに取組むための支援体制はまだ整っているとは言い難い状況にある。日本代表選手として国際大会にのぞむための資格問題や選手選考、競技役員の人手不足、組織運営の不透明さなど、競技団体が解決するべき課題は数多い。また、参加する選手自身が、生活支援や学習支援と切り離して練習環境を選択する事は現状難しく、支援体制の事情を背負わざるを得ない現実がある。

 それらの課題に対しての同連盟の答えが今回のNPO法人化のながれである。各競技団体、支援組織の横のつながりを深めると同時に、さまざまな問題を集約してその解決にあたる事が会議の席上で確認され、複雑な事情を抱える日本の知的障害者スポーツの環境を取りまとめる一つの方向性を示した。

 同連盟役員の選任については、旧組織事務局より提案があり満場の拍手によって可決。役員は以下の通り。

(会長)中曽根弘文(副会長)橋本聖子、保坂三蔵、藤原治、加藤正仁、岸本啓吉(理事長)後藤邦夫(副理事長)生駒三男、野村一路(常任理事)荒井秀樹、山下輝明(理事)平塚雄二、及川栄子、石塚正太郎、湯澤義郎、安江末雄、山内美代、三津田和行、水原豊(顧問)長沼健、細川佳代子、阿部克三
※敬称略

 旧組織理事会推薦で会長に就任した中曽根氏だが、加盟競技団体についての初歩的な質問が出るなど、知的障害者スポーツ環境の理解はまだこれからという様子だ。就任挨拶では「まだまだ知的障害の方々の環境は十分とは言えません。課題もたくさんありますが、この活動をしっかりとしたものにしていきたい」と抱負を語った。

 また、13日、岸記念体育館内記者クラブ(東京)で開かれた、国際知的障害者スポーツ連盟(INAS−FID)記者会見発表を受けてあげられた問題点は以下の通り。

・INAS−FIDが本部を日本に設置する事に対し同連盟に説明がなかった。
・INAS−FIDサッカー世界選手権大会の報告が完了していない。
・INAS−FIDの競技役員選任について日本側に不備があるとの回答を受けた。

 以上の問題についても連盟として対処していく事が会議の席上で確認された。競技スポーツとして国際大会に取組む上で、国際パラリンピック委員会(IPC)に加盟する国際知的障害者スポーツ連盟(INAS−FID)との連係がとれていない事実は、同連盟が取組むべき大きな課題である。今後の動きに期待したい。

【森田和彦】

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